ヤマト運輸が今年出陣するねぶたの下絵が、囃子会である夏響会のサイトにて公開されました。製作者は北村隆先生。
http://www8.ocn.ne.jp/~kakyokai/archive/archive09.htm
左側の梅を身に纏っているのが豫譲ですが、武者(趙襄子の部下でしょう)を踏みつけて趙襄子に切りかかるこの構図は凄いですね。本当に佐藤伝蔵名人を彷彿とさせます。去年のヤマトの「花和尚 魯智深」も素晴らしい出来栄えでしたが、今年も期待させてくれますね。
題材は「白梅」、中国は晋の時代の豫譲という人の伝承だそうです。上記ページの解説はいまいち言葉足らずですが、不足部分は少し調べればすぐにわかります。『士は己を知る者の為に死し、女は己を喜ぶ者の為に容づくる』というセリフの、特に前半部分は結構有名ですね。
まず豫譲の主君である智瑤は六卿のうちの一人で、他の五卿は范氏、中行氏、趙氏、魏氏、韓氏。まず最初に范氏と中行氏が智氏を中心とした四氏に滅ぼされ、続いて智氏が残りの三氏の連合軍に破れました。趙襄子が"死んだ智瑤を辱めた"というのは、智瑤の頭蓋骨に漆を塗って便器にしたという話だそうです。中国の伝承らしい話です。
さて、豫譲自身は最初は范氏、次に中行氏に仕えていましたが、武功を立てても評価されないため、自分を認めてくれた智氏に仕えるようになったとのことです。「己を知る者の為」という恩義はここからきているもの。趙襄子の暗殺については「一度目は見つかるが解放される」とさらっと書かれてますが、このとき趙襄子は「この男は仁義を尊ぶ天下の賢人だから逃してやれ。また殺しにきても自分が気付けばいい」と言って逃しました。二度目の暗殺に失敗した際も、豫譲は趙襄子の服を切って復讐の念を晴らしてから死にたいと申し出て、趙襄子もこれを許して服を与えたそうです。
単に智氏を辱めたというだけでなく、趙襄子自身非常に度量の大きい人物だったことがわかります。